「調味料頼りの”お手軽レシピ”はもっと必要」発酵MAGAZINE インタビュー vol.1 山口祐加 第1回

2020年4月1日にオープンした発酵デパートメント。コロナ禍を駆け抜けたこのお店を支えたのが、「発酵サブスク」の存在でした。その中で大きな力となったのが、自炊料理家山口祐加さんの「発酵自炊レシピ」。

「どう使っていいか、わからない!」となってしまいそうな、ひと癖もふた癖もある発酵デパートメントの商品たちを、山口さんならではのお手軽レシピで紹介するもの。これまで4月〜8月までの全19品をご紹介してきました。

そんな「発酵サブスク」の誕生秘話と自炊料理家・山口祐加さんのお話を全4回の連載で振り返っていきます。第1回は発酵サブスクの振り返りをしていきます。素材をかけるだけのレシピを推奨する二人の意図とは…。

 

 

 

飲める調味料

ヒラク:4月からはじまった「発酵サブスク」も、9月で半年になりますけど、レシピを作り続けてみて、どうでした?

山口:そうですね、まず最初に感じたのが、調味料って美味しいんだなって(笑)。

ヒラク:いい調味料は飲めるんだよね。

山口:この「心の酢」なんかも初めて口にしたときに、びっくりしましたね。そのまま飲んでもめちゃくちゃ美味しい。

ヒラク:だしが入ってるレベルの味だよね。

山口:そうなんですよ。酢の物を作るときって、お酢だけで作ると酸っぱすぎて「ああ、酢の物ってこんなものか」とがっかりしちゃう。だけど、この「心の酢」はお酢だけでびっくりするほど真っ当な料理になりますね。でもラベルを見ても原材料は「米」だけという。

ヒラク:料理を作るときって、どうしても「味付け」をしようとして、調味料をいろいろ混ぜたりしがちだけど、美味しい調味料なら、別にいらないんだよね。

山口:そうなんですよ。自炊し始めると、いわゆる「手抜きレシピ」に少し罪悪感を覚えると思うんですよ。「かけるだけとか料理じゃない!」みたいな。でもそんなことしなくても、おいしければいいじゃんみたいな。

ヒラク:個人的に感動したのが「なすの揚げ浸し」のレシピだな。

山口:ナスを素揚げして、白だしに付けるだけってものですよね(笑)。

ヒラク:そう、他の調味料は何ひとつ使ってないという、びっくりするほどシンプルなレシピ。あとは「みのび」のレシピも15秒くらいで作り終わる。モッツァレラチーズに鰹節をまぶして、醤油をかけるだけだけど、めちゃくちゃ美味しい。

快適な自炊ライフのための簡単レシピの鍵は“調味料”?

ヒラク:この「発酵自炊レシピ」って、必ず本当に簡単なものが毎月必ず入っているのがいいよね。

山口:そうですね、あえて必ず本当に手軽なレシピを入れるようにしています。

ヒラク:それは何か理由があるの?

山口:私は、料理におけるの味の割合って「食材:調味料:腕=4:4:2」だと思ってるんですね。だけど、レシピってどちらかというと、調理方法の2割にフォーカスしてしまいがちじゃないですか。

ヒラク:確かに凝った料理ほど、いいレシピみたいな節はあるよね。

山口:でも、調味料さえよければ、確実に4割は確保できる。さらに素材が良ければそれだけで8割ですよ。これって、いろんな人にとって勇気を与えられるんじゃないかなと。

ヒラク:確かに冷奴もレシピだもんね。豆腐に醤油をかけるだけだけど、原始的なレシピだから食べたくないものとはならない。

山口:そうなんですよ。自炊ってそういうポイントをいかに作るかが自炊を続けるポイントだと思うんですよね。たとえば、「かんずり」もとても使いやすい料理なんですけど、味噌汁に入れるだけというレシピですからね。

ヒラク:僕らみたいな食を生業にしている人たちが、「手を抜いて当然」というスタイルを毅然と取ることが、自炊している人たちを励ますことにもつながるよね。「かけるだけ」「のせるだけ」でも料理なんです、と。

山口:本当にそうだと思いますね。

腕を見せるレシピは、調味料メーカーにとって迷惑?

ヒラク:調味料メーカーとか醸造家の人たちとかの話を聞くと、彼らって料理がうまくない人たちでも、美味しく食べられるように日々頑張ってるんだよね。ということはさ、こちらが腕を見せようと頑張りすぎるのに対して、正直彼らとしては「やめてくれ!」ってなると思うんだよね。

山口:たしかに(笑)。

ヒラク:世の中にあるレシピって、食材や調味料のポテンシャルを最大限に活かすことよりも、腕を上げることにフォーカスしてしまいがち。だけど、僕らとしては日常的な調味料や食材がいかによく作られているかということにフォーカスしたほうが実はいいんだよね。

山口:そのあたりは、レシピの中で一番気を使うところですね。たとえばお酢って煮物とかに使っても美味しいんだけど、火を通すと香りが飛びがちなんですね。なので、できればマリネみたいに使って欲しいなとかはいつも考えてます。

ヒラク:

山口:だからレシピを作る側からすると、調味料のポテンシャルを100%引き出すこと以外はやることないかもしれませんね(笑)。

(第二回につづく)

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