「苦手だからこそ生まれた“発酵レシピ”たち」発酵MAGAZINE インタビュー vol.1 山口祐加 第2回

2020年4月1日にオープンした発酵デパートメント。コロナ禍を駆け抜けたこのお店を支えたのが、「発酵サブスク」の存在でした。その中で大きな力となったのが、自炊料理家山口祐加さんの「発酵自炊レシピ」。

「どう使っていいか、わからない!」となってしまいそうな、ひと癖もふた癖もある発酵デパートメントの商品たちを、山口さんならではのお手軽レシピで紹介するもの。これまで4月〜8月まで全19品ものレシピが誕生してきました。

そんな「発酵サブスク」の誕生秘話と自炊料理家・山口祐加さんのお話を全4回の連載で振り返っていきます。第2回は苦労したレシピの話。実は発酵食品があまり得意ではなかった山口さんが悪戦苦闘した商品について語っていただきます。

乳酸発酵の香りが苦手!?そこから生まれた珠玉のレシピ

山口:実は、この仕事をお願いされたときに少し悩んだんですよね。というのも、発酵食品の独特な香りが、正直なところあまり得意ではなくて。

ヒラク:それは話していたよね。ユカちゃんの発酵への馴染んでいく過程も、レシピに表れている感じがある。最初はベーシックに美味しい初心者向けの調味料が多かったけど、最近はだんだんとハードコアになってきてる。けっこう頭を悩ます商品が多かったんじゃない?

山口:「すんき」のレシピは結構頭を悩ませましたね。あの、植物性の乳酸発酵の香りってかなり独特なんですよ。発酵食品が苦手な人って、たぶんあの香りが苦手。酸味がすごく強いので、ご飯と合わせるのも難しいし、どうすれば美味しく食べられるのかな、と。

ヒラク:この「すんき」は塩を使わないかぶの葉のお漬物。日本全国でも木曽でしか作られていない珍しい代物ですね。植物性の不思議な酸っぱさがあるので、好き嫌いは結構分かれるんだけど、そこからサンラータンという発想はびっくりしちゃったな。

 

山口:酸味をどう活かすかと考えたときに、「発酵中華」という流行りのキーワードが頭に浮かんだんですよね。そこで、サンラータンをお酢なしで作ってみようと。

ヒラク:いやあ、あれは傑作でしたね。

山口:あの独特の乳酸の香りが豚バラの旨味や油が中和して、バランスがすごく良くなるんですよ。具を増やして、炊き込みご飯とかも美味しいと思いますね。

ヒラク:うん、あれは乳酸発酵の香りが苦手な人でも、美味しく食べられる。

山口:まさに「どんな発酵食品も大好き!」というわけではないからこそ、生まれたレシピですね。

 

https://hakko-department.com/wp/product/1479/

珍しい発酵食品たちとどう向き合うか

ヒラク:悩ましいレシピといえば、「トマトしいたけだし」も大変そうだったよね。

山口:これも悩みましたね! 「何も思いつかないんですけど!」と相談した覚えがあります。

ヒラク:一応、相談しながらレシピは考えているんだけど、この「すんき」や「しいたけトマトだし」は、完全に僕らから頼み込んで作ってもらってる感じだよね。

山口:いつも本当にどうしようかって思うんですよね。

ヒラク:そう、毎回すごく悩んでるけど、絶対に結果的にすごくいいレシピが出てくるんだよね。このガスパチョのレシピも本当に最高。

山口:トマト出汁にトマトジュースを掛け合わせるという荒技でしたね。元々のしいたけだしが「美味しさど真ん中!」という感じだったので、あとはトマトの酸味をどう活かすかというところでした。

ヒラク:これも気軽に作れるのがいいよね。

山口:そうですね。今回は玉ねぎやきゅうりを具材に入れましたけど、トマトジュースに合わせるだけでも美味しいので、朝でもさらっと作れちゃう。あと火を使わなくていいのもポイントですね。

日本の発酵食品の奥深さを知る

山口:発酵サブスクって、最近は毎月必ず尖った商品を紛れ込ませていますよね(笑)。それって、何か理由があるんですか?

ヒラク:ほら、発酵デパートメントってめちゃくちゃたくさん商品があるじゃない? それがひとつの魅力ではあるんだけど、逆に選択肢が多すぎると、尖りすぎた商品にあんまり日が当たらないんだよね(笑)。

山口:調味料だけでも、ものすごく種類がありますもんね。他のところまで目がいかない。

ヒラク:そう、調味料の美味しさを伝えるのも僕らの役割のひとつ。その上で、発酵の奥深さ、面白さを知ってもらうのも同時に大切なことだと思ってるんだよね。

山口:ほんと、日本の発酵食品って幅広いですよね。地域ごとに全然違うし。

ヒラク:そう、日本の発酵食品って世界でも珍しいほど、たくさんの種類がある。そして、どれも個性がめちゃくちゃ強い。だから、せっかくだから癖の強い商品たちを送りつけてやろう、と(笑)。あとは、サブスクも随分長くやってきたから、ここまでついてきてくれたお客さんたちも目が肥えてきたのかなと。

山口:もう半年近くやってますもんね。

ヒラク:そう、結構たくさんやってるよね。でもこれができるのも、ユカちゃんのアプローチがあってこそ。癖の強い素材の魅力を隠すのではなく、活かすレシピ。うまく発酵食品たちの魅力を引き出してくれてるなって思うな。

(第3回へ続く)

この記事を書いた人 発酵デパートメント

発酵デパートメントのオフィシャルアカウント。

発酵MAGAZINEHAKKO MAGAZINE

発酵チャンネルHAKKO CHANNEL