「好きなことを仕事にしたい人たち」発酵MAGAZINE インタビュー vol.1 山口祐加 第4回

2020年4月1日にオープンした発酵デパートメント。コロナ禍を駆け抜けたこのお店を支えたのが、「発酵サブスク」の存在でした。その中で大きな力となったのが、自炊料理家山口祐加さんの「発酵自炊レシピ」。

「どう使っていいか、わからない!」となってしまいそうな、ひと癖もふた癖もある発酵デパートメントの商品たちを、山口さんならではのお手軽レシピで紹介するもの。

そんな「発酵サブスク」の誕生秘話と自炊料理家・山口祐加さんのお話を全4回の連載で振り返っていきます。最終回となる第4回は、小倉ヒラクと山口さんの出会いから、山口さんが「自炊料理家」になった経緯を伺いました。

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出会いは山口さんのお父様からの電話

ヒラク:最初から料理の仕事をしていたわけではないんだよね。

山口:大学卒業後は出版社に就職しました。その後に転職した食関係のPR会社で企業向けの料理教室に携わるようになったんです。そのときに、「料理」って「本」よりも、目の前の人の反応がダイレクトに見えることが面白いなって気づいて。

ヒラク:僕と会ったときはフリーランスだったよね?

山口:ちょうど色んなことしてた時ですね。料理店を手伝ったり、30人分ぐらいの社食をひとりで作ったり、器の金継ぎしたり、ライターしたり…。その頃、銀座蔦屋書店のヒラクさんのトークイベントに行ったんです。

ヒラク:2017年だね。

山口:すごく面白い方だな、と思ってその話を父にしたんですよ。そしたら「え、小倉ヒラクちゃん?知ってるよ、面白いお兄ちゃんだよね」って。

ヒラク:そうそう、まさかのお父さんと僕が知り合いだった(笑)。それで、ユカちゃんのお父さんから僕に電話がきて、うちの娘が会いたいって言ってるから、いついつにホテルのロビー待ち合わせで、って言われて。「え、お見合い!?」と思ったよね(笑)。

山口:(笑)。

肩書きは一言で言えるほうがいい

山口:そのときはフリーランスになって1年も経たない頃でしたね。

ヒラク:そうだよね。色んなことしてるって言うから、何でも出来ちゃう子なんだなっていうのは思った。

山口:本当になんでもしてました。そのときに、たまたま例の平野くんの自炊レッスンの話をしたら「料理できない人向けのコンテンツって今までなかったからやってみなよ!」って言われて「やります!」って(笑)。

ヒラク:それからすぐにTwitterでも「宣言文」みたいなのを出して、料理講座作って、リリースしてたよね。「この子はすごい!」って思ったもん(笑)。

山口:私としては「やらないことにはわからんな。」っていう気持ちでした。

ヒラク:僕はよく若い子から「やりたいことを仕事にしたらどうしたらいいですか?」みたいな質問を受けるんだけど、アドバイスしても、まず「やります!」っていう子自体少ないし、さらに実現する子ってなかなかいない。

山口:あとは「肩書きは一言で言えるほうがいい」っていうアドバイスももらいましたね。

ヒラク:そうそう、フリーランスで仕事をするときって、発注のきっかけは「人となり」を覚えてもらうところからだと思うんだよね。「なんでも出来ます。」だと、覚えてもらいにくい。でも、「発酵デザイナーです。」って自己紹介すると、その場は挨拶しただけで終わっても、あとからイベントとか雑誌で発酵を扱うってなったときに「そういえば発酵デザイナーって人いたな…。」って思い出してもらえる。

山口:そうなんですよね。そのアドバイスが「自炊料理家」を名乗り始めたきっかけでした。

ヒラク:肩書きを決めると、必然的に「何をやらないか」が決まるし、「何をやるか」を決めることになるし。フリーランスだからこそ、「ここを中心に仕事を組み立てよう」っていう軸を決めたほうがいい。

自分だけの居場所を見つけること

ヒラク:料理業界って、すごくレベルの高い戦いをしてるような気がするんだよね。「みんなはこうするけど、私はこうします!」とか「一般的にはこう言われてるけど、これが正解です!」とか。料理業界の中で戦ってる感じ。

山口:それはありますね。

ヒラク:でも、世の中のリアルって「おなかすいたなー…松屋行くか。」「カップ麺つくるか。」みたいな人たちだと思うんだよね。

山口:そういう人たちが料理をするきっかけがないんですよね。

ヒラク:そうそう、だからユカちゃんみたいに「料理の入り口」まで案内する人がいなくて。そうやって自分だけの居場所を見つけられれば、同業者と戦う必要ないもんね。

山口:私も料理学校の出身ではないですし。でも、自炊をしている私にとっては当たり前のことが、料理が苦手な人にとっては新鮮だということがわかって。

ヒラク:うんうん。

山口:「これができない」とか「これができたらいい」とかではなく、技術を持っていない人が徐々に料理スキルを身に着けていって、自分から料理のアイデアを出せるようになる姿はすごく印象的でしたね。

ヒラク:なるほど。

山口:そうやって、自炊をきっかけに料理ができるようになる人がもっと世の中に増えたら面白いなと思ったんです。

ヒラク:発酵デパートメントでも、それを応援できたら嬉しいな。これからも面白い自炊レシピを開発していこう!

山口:よろしくおねがいします!

この記事を書いた人 発酵デパートメント

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