佐賀呼子の松浦漬 小箱80g
佐賀呼子の松浦漬 小箱80g
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プリプリ・コリコリの不思議食感
佐賀県唐津の呼子港でしかつくっていない、クジラの上顎のナンコツの酒粕漬け。クジラ漁の盛んだった頃、解体した後にどうしても使いみちのないナンコツをなんとか食べようとして考案されたクジラ一族の知恵。プリプリ・コリコリの不思議な食感をご堪能あれ。
内容量:缶詰180g
原材料名:酒粕(国内製造)、鯨の蕪骨、砂糖、食塩、唐辛子/調味料(アミノ酸等)
鯨一族の執念、松浦漬け
僕(小倉ヒラク)が子供の頃、母の実家である佐賀県唐津北部、呼子エリアの集落によく預けられていました(虚弱児だったので漁師のおじいちゃんに鍛えられていたんです)。ご飯の時にたまに出てくるキクラゲのようなゼリーのような不思議な食感の珍味が出てきたのですが、これ実は日本でも珍しい、鯨の発酵食品だったんですね。
鯨の軟骨の酒粕漬け
今から125年ほど前に誕生した 呼子特産、松浦漬け。カブラと呼ばれる鯨の上顎の軟骨部分を、様々な調味料を混ぜた酒粕に漬け込んだコリコリ・プルプルで発酵の旨味たっぷりの珍味で子供たちはお茶漬け、大人は酒の肴にガツガツ食べていました。僕の子供時代から変わらぬレトロなパッケージの絵柄をよく見てみると、たくさんの小舟が巨大な鯨を追っているシーンが描かれています。ここ呼子は北九州の主要な捕鯨地の一つ。鯨漁が下火になった現在ではイカ推しですが、かつては捕鯨産業で大いに栄えた活気あふれる街だったのです(その名残は映画『男はつらいよ』第14作「次郎子守唄」で見ることができます)。
鯨一族の叡智の結晶
呼子には鯨組と呼ばれる捕鯨組合があり、組の盟主の一つだった山下家が松浦漬けを開発しました。江戸〜明治大正にかけて鯨漁は港町の巨大産業。当時の写真を見てみると20mを超すシロナガスクジラが捕れていたようで、食用はもちろん工業用の油や革製品、石鹸の製造までありとあらゆる部位が活用されていたよう。そのなかで油を搾った後の軟骨部分は用途がなかったらしく「なんとか活用できないものか…」と山下家の娘ツルが地元の酒蔵の酒粕に漬け込む調理法を考案。以降100年以上に渡ってご当地珍味として重用される松浦漬けが爆誕したわけです。
さてこの松浦漬け。製造法の秘密を探るべく久々に呼子の松浦漬け本舗を訪ねてみたところ、レシピは門外不出で何なら社員のほとんども知らないそう。そのかわりに松浦漬け本舗との出会いによって鯨組の旦那衆と知り合うことができ、北九州の捕鯨文化の知られざる歴史を色々と教わることができました。近代化とともにだんだんフェードアウトしていっている呼子の鯨の街としてのアイデンティティ。しかし発酵文化のなかにかつての記憶が刻まれているんですね。
最後にちょっとオマケ話。僕の母の姓も山下なんですが、この家系の多くは代々漁師一族で捕鯨に関わり、さらに遡ると松浦党という水軍(海の豪族)にたどり着きます。母の実家の地区名はなんと秀吉の朝鮮出兵の歴史に紐付いていました。呼子の歴史(と母方のルーツ)はかくも奥深し…!
松浦漬の魅力をさらに知りたい方はこちら!
歴史的な背景や美味しい食べ方などについて、発酵デザイナー・小倉ヒラクとスタッフのかしまし娘・こんどうりさが語ります。
内容紹介
- 小倉ヒラクの発酵講座
- 鯨の上顎の軟骨を酒粕漬けにしたもの
- 食感はクラゲで酒粕風味の甘辛い味
- 古くから「松浦党」など海の民の拠点となっていた街・呼子
- 鯨一頭を余すところなく、用いていた捕鯨組合のもったいない精神
- 朝鮮出兵の際に拠点となった呼子
- 食べたことのない不思議な味
- 日本酒のアテにぴったり
- 野菜など葉物と合わせても美味しい
