2023年の振り返り。小倉ヒラクの買ってよかった発酵食品

みなさん、発酵してますか?
今年も残すところあとわずか。

発酵デパートメントは、2023年もさまざまな発酵食品に出会うことができました。
オーナーである発酵デザイナーの小倉ヒラクも日本全国だけでなく、世界を飛び回り大忙し。書籍も2冊発売するなど精力的に活動しまくった1年でした。

2023年の発酵事情を「ニュージェネレーションが豊作だった」と振り返るヒラクさん。そんなヒラクさんがよく使った・感動した発酵食品をご紹介します。

発酵食品にニュージェネレーションの波がやってきた 

ーー2023年の発酵食品事情はどうでした?

ヒラク:去年まではローカルな知られざるものを中心に扱ってきていましたが、今年はニュージェネレーションの商品が増えて、おもしろくなってきましたね。三五八漬けや松浦付けのように、伝統的に作られてきたけど誰も知らなかったものを紹介していたのが発酵デパートメントの第一期だとすると、新しい切り口や製法、今の時流に乗ったデザインのものなどニュージェネレーションと言える商品が増えて、第二期に突入したなという感じがしています。

稲とアガベの「発酵マヨ」、坂東食品の「BAKASCO」、ヤマト醤油味噌の「田んぼのパンケーキミックス」、小嶋総本店の「フルーツ甘酒」、_SHIPの「KOMBUCHA」など、今年頭角を表してきた発酵食品は総じてニュージェネレーション感があるんですよね。

そこに紐づいて、今年おもしろかったものの筆頭がクラフトサケ。去年から扱ってはいたけど、今年一気に盛り上がった。そして最後のトドメが焼酎のニュージェネレーション。若潮酒造、大和桜などおもしろいお酒が出てきた。それらを発酵デパートメントで扱えているのはうれしいことですね。

ーーニュージェネレーションの出現は、全国を巡る中でも感じることですか?

ヒラク:もちろん。今はニュージェネレーションもクラシックな発酵食品も入り混じっているとき。もともとローカルの知られざる存在だった発酵食品も、発酵デパートメント発信で“知られざる”じゃなくなってきているというおもしろさもある。

同時に発酵デパートメントが醸造界でも認知されてきたなというのも感じますね。新商品の取扱先のひとつに発酵デパートメントを考えてくれている蔵元もいて、蔵元によっては新しいものが完成したら「とりあえず発酵デパートメントに相談してみよう」という流れができていたりもします。

そんな感じでニュージェネレーションがここに集まるようになってきたのかもしれないですね。

ーー発酵デパートメントなら「新しい発酵をちゃんと持ち上げてくれて、伝えてくれる」という信頼感が醸成されたからこそですね。

ヒラク:うれしいですね。今は発酵業界が過渡期。バブル世代のお父さんから、ミレニアル世代の子どもに継承されていくようなタイミングなんです。これからのことを考えると、お父さん世代だけが顧客だと生き残れないから、小さい規模でもいいから新しい顧客層にアプローチしなくてはいけない。それは醸造界の宿題でもあります。

そこで子ども世代が新しい商品を作るけど、「そんなの売れねえ!どこで売れるんだ」ってお父さんに言われちゃうわけですよ。そういうときの小規模でのテスト販売の受け皿になれるのが発酵デパートメント。少しずつ信頼を得られるようになり、僕たちが発酵文化のプラットフォームが形になりつつあるのかなと思うと、嬉しいですね。

ーー発酵デパートメント以外の活動では、どんな2022年でしたか?

ヒラク:本は「アジア発酵紀行」と「オッス!食国」の2冊を出版しました。大変だった……。「アジア発酵紀行」は、特に話題性も高く、メディアからも取材依頼が増えているので関心の高さが伺えますね。

今年は「アジア発酵紀行」の取材もあり、海外にも行きました。インド、中国、パリ、ネパール……いろいろ行ったけど、印象に残っているのはなんといってもインドからネパールへの旅。グンドゥルックにナリ、ダージリン紅茶、アッサム紅茶、古代アジア麹とかおもしろい発酵食品に出会えましたね。日本で売るための準備も少しずつ進めているので、楽しみにしていてほしいです。

ーーでは、ここからはお店の棚を見つつ、2023年によく使った・感動した発酵物をご紹介してもらいましょう。

ニュージェネレーションな発酵食品を掘り起こした2023年

ヒラク:まずはこれ、英語のパッケージでかっこいいでしょう?ブルックリンからやってきた出汁です。出汁問屋の「尾粂(おくめ)」がブルックリンのおしゃれなスポットにお店を出して、このパッケージで売り出したの。かわいいからこのまま日本でも売ろうということで、逆輸入しました。

お出汁ビギナーでも、どんな取り方をしても絶対においしくなるブレンドになっています。

ヒラク:和歌山県のニューウェーブ筆頭!「ORYZAE BREWING」は、麦芽を使わない米麹の甘酒をベースにしたビール。これは、今年のクラフトビールのなかで推しオブ推しオブ推し。麹由来のキレ、シャンパンみたいフィーリングの細かい泡で、変形ヴァイツェンという感じ。

製品表示上は、厳密にいうとビールではなくて。今年の阪神の催事でトークイベントをしたときにブルワーの木下さんが「麦が入っていないから、鎖国下でも作れるビール」って言ってたのもおもしろかったなぁ。

ヒラク:いろんなところで注目されているけど、友人でもある稲とアガベの「発酵マヨ」もぜひ紹介したいです。もともとクラフトサケを手がける稲とアガベが、作っているということでまさにニュージェネレーション。

卵も乳製品も使わない酒粕ベースの無添加マヨネーズで、ヴィーガンの方にも人気ですね。普通のマヨネーズよりまろやかで使いやすいから、僕自身もよく使っています。

ヒラク:発酵デパートメントのオリジナルアイテムなら、今年の5月に発売した、にいだしぜんしゅの「にいだのごさん」も今年を象徴する商品。酸度が5.0のお酒が誤算でできてしまったことから生まれた甘酸っぱい日本酒です。一時期、家でずっとこればかり飲んでましたね。

さらに、12月にはこの「にいだのごさん」を火入れして、ココ・ファーム・ワイナリーのオーク樽で熟成させたロゼ日本酒にいだのごさん オーク樽熟成」を作りました。

ぬる燗にするとほのかにタンニンを感じて、樽熟成させたお酒ならではの味に仕上がっています。

ヒラク:「抱擁茶」は、本の出版記念で作った発酵デパートメントオリジナルプーアル茶です。中国の取材で出会った雲南省伝統のお茶で、タブレット状に茶葉がぎゅっと圧縮されています。日本でこの形ではあまり見かけないですよね。。

発酵するとカフェイン、カテキンが少なくなり刺激が少なくなってまろやかになるので、延々と飲み続けられるスーパーチルなお茶という感じ。

酷使した胃腸を抱擁してくれるようなお茶ということで「抱擁茶」と命名しました。使い切りサイズだし、お湯を注げば何度も飲めるので、飲み過ぎ食べ過ぎになる今の季節におすすめ。

2024年、東アジアの発酵食品が発酵デパートメントに!?

ーー2024年、ヒラクさんはどんなことを企んでいるのか教えてください。

ヒラク:俺は来年貿易商になる!来年はオリジナル商品と海外商品に注目してほしいですね。東アジアの発酵食品で、村の外に出したことのないような発酵食品を発酵デパートメントで扱いたいと考えています。

でも、ローカルに根付いた古典的な発酵食品を、古典をリスペクトしながらも発酵デパートメント的に見直して、別の文脈に編集して届けるというのは変わらないです。

ーーまだまだ新しい発酵食品に出会えそうで、楽しみですね。

ヒラク:とにかく、おもしろい商品いっぱい届けたいですね。訪れた人が新しい発見をしてワクワクしたり、買う時に「これを使ったらどうなるんだろう」というドキドキ感があるようなお店でありたいです。ワクワクするラインナップの中で宝探しするような。イメージはマンハッタンレコード。みんなにディグって楽しんでほしい。

来年も新商品やお店の外に出てのイベントなど、まだまだお楽しみも用意しているので、ぜひ期待していてほしいですね!

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