【小倉ヒラクの発酵沼へようこそ!】第7回:今を残すことは、未来へのプレゼント

発酵デパートメントの合言葉は「世界の発酵、みんな集まれ!」。
お店のオープン前に、経営チームの黒江さんから「事業のコンセプトをつくってほしい」と言われてしばし悩んだ後に考えたものです。僕としては大げさな課題解決のコンセプトは発酵というテーマにふさわしくないのでは?と思って「コンセプト」でなく「合言葉」にしたんですね。

目的や意味を求めすぎない。

イメージとしては「あつまれどうぶつの森」のような感じで、ゲームクリア(達成)を目指すよりも、ゲームする行為自体が楽しくて延々とやってしまうものがいいなと。

で。発酵デパートメントのやることは「世界の発酵、みんな集める!」なんです。そこに意義や目的は設定しない。日本はもちろんのこと、世界を見渡せば無限に思えるほどいっぱいあるし、一個一個ユニークで面白いし。たぶん僕が死ぬまでには到底達成できないのでは…という壮大なゲームです。

僕のこの発想、どこから出てきたのかな?
と思い返してみると、数年前にアーカイブ(記録の保存と伝達)の事を学ぶ機会があったことが大きい。アーカイブとは、図書館や博物館で様々な歴史資料を収集・整理して未来の人類のために役立てる活動です。これを専門としている人たちに話を聴く機会があってだな。アーカイブって何を目的としているんですか?と生意気にも質問してみたのですね。そしたらば、

「アーカイブには目先の目的は設定しません。数十年後、100年後の人たちに届くようにとにかく残すことが大事。未来には価値観が変わって、現代の私たちの意図は邪魔になるかもしれない」

と、まことに思慮深い答えが。短期の成果を求めがちな現代人はついつい自分のやることなすことに目的と意味を求めがちですが、100年スパンで考えてみると人の価値観は移り変わり、目的や意味の地盤がそのままであるとは限らない。しかし価値観が変わっても、過去の記録は残るべき。だから個人の意図を退け、意味を求めずとにかく残す。その価値判断は未来の人に委ねる。

長い時間に身を委ねる

そう。アーカイブ、「残す」ことは未来の人たちへの「プレゼント」なのです。
英語の”Present!は贈り物と同時に「現在」を指します。僕たちが生きている「今」を残すことは、未来へのプレゼントだと僕は思うのですね。

さて。ということで発酵デパートメントの行う「今世にある発酵ブツを集めまくる」という行為は、実は上記のようなアーカイブ作業なのですね。メジャーな文化と、100人の集落にしか伝わっていないニッチな文化を分け隔てなく集めて残す。ほっとけばなくなってしまうようなものを取っておく意味は?と問われたら「その意味は未来の人が決めるのだ。ほっといておくれ」と答えるのが吉。

長い長い時間の流れに自分を委ねて、いったん意味や目的を捨ててみる。ただ今あることに集中してみる。そこから思いがけない未来のブレークスルーがあるかもしれないのです。

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