ポテンシャルは無限大。戸塚醸造店「にごり酢」は米の旨みがたっぷり

料理の「さしすせそ」は美味しいものを使うほど、ご飯が楽しくなるってなんとなく想像がつくでしょう。1に砂糖、2に塩。では、3番目のお酢はどうでしょう。はて美味しいお酢とは?と思ったあなたへ。料理の味をぐんと引き上げてくれて、発酵するがごとく喜びがふつふつ湧いてくるお酢を紹介します。しかも新発売。ユカちゃん先生のレシピブックでも紹介された「心の酢」を作る戸塚醸造さんの、発酵デパートメント限定「にごり酢」です。天然素材オンリー。ほぼ水と米だけで作られ、ペロリとなめるとギュウとお米の旨みが押し寄せる味わい。あぁ、発酵沼の底から「待っていました!」の声が聞こえる。

発酵デパートメントオリジナルの「にごり酢」が登場!


▲こちらが定番の「心の酢」と、発酵デパートメントオリジナルの「にごり酢

今回の発酵デパートメントオリジナルとして発売された「にごり酢」は、戸塚醸造店の定番商品として流通している「心の酢」とは、製法も味わいもひと味違います。

そもそも戸塚醸造店はまとめにまとめると、すごいところしかないのです。味見してみればわかる!とも言えるのですが、それでは画面の向こうには伝わらないので、そのすごいポイントを3つにわけて解説いたしましょう。

その1. 戸塚醸造店の戸塚さんの経歴
その2. お酢の製法
その3. お酢の美味しさ

店主の戸塚さんは元銀行員

戸塚醸造店があるのは、山梨県都留市。富士山伏流水が湧き、山々と田畑に囲まれた場所に工場があります。
戸塚さんがお酢づくりをはじめたのは、銀行員時代に先代が銀行へ廃業の相談に来たのがきっかけでした。お酢づくりに興味をもった戸塚さんは銀行員として働きながら、先代の手伝いをスタート。やればやるほど発酵の魅力に取り憑かれ、ついに31歳で銀行を退職し、後継者がおらず、体力の限界や近づいていた先代に変わり、跡を継いだのだそうです。

いつだったか、発酵デパートメントオーナーの小倉ヒラクは「全然違う職業だったのに、発酵沼に呼ばれる人がいる」と語っていましたが、戸塚さんも呼ばれた人の一人なのかもしれません。


▲戸塚醸造店は夫婦ふたりで切り盛り。「いやぁ、本当に3日前何やってたか忘れてしまいますよ」と話す戸塚さんの笑顔は、いかにも職人らしさがにじんでいてカッコよかった

日本でも希少なお酢の製法

お酢には大きく分けて二種類の作り方があります。
通常スーパーで売っているようなお酢は、醸造アルコールを原料に可能な限り短期間で発酵させたもの。そしてごく小数ですが、江戸時代からの伝統製法である、米と水だけを原料にじっくり発酵させたものがあります。

戸塚さんのお酢は後者の伝統製法。まずは麹をつくり、お米を蒸して発酵させ、お酒を作るところからはじまるのです。この製法は全国でも貴重な静置食酢発酵法と呼ばれる作り方。

ここまでは発酵や調味料に詳しい方ならご存知かもしれません。
しかし、戸塚さんのお酢の醸造法にはさらにスペシャルな要素があります。一般的な静置食酢発酵法だと、最初のお酒を作る段階で酒粕を分離させて、お酒に火入れをするのですが、戸塚醸造店はどちらの工程も行いません。

お粥状のお米ペーストが溶けたもろみのまま、お酒を大きな甕(かめ)へ入れ、そのままお酢になるよう発酵を進めるのです。「酒粕を取り除いて火入れをするほうが安定して作れ、酒粕を売ることもできるのですが、静置食酢発酵法のほうが香りや旨みが活きてくるんです」と戸塚さん。

甕での発酵を終えて上澄みを取って熟成させたのが、レギュラーの「心の酢」。仕上げの工程も、戸塚醸造店ならではの製法が。戸塚さんは「一般的な作り方だと濾過をしてクリアに仕上げるところを、ウチは無濾過で上澄みだけを取っています。これは丁寧に発酵させて熟成させないと作れないのですが、その分美味しくなるんですよ」と話します。


▲「心の酢」の上澄みを取ったあとに残った液体は、プルンプルンのスフレ状になっている。ヨーグルトみたいで、ちょっと味見させてもらったのですが、こりゃまたゥンマイ。

レギュラーの「心の酢」の上澄みを取ったあとに残った液体は、お米と麹の旨みがさらに凝縮されたもの。これを手作業でやさしく絞ったのが、「にごり酢」。最初に仕込むお米の総量が480kgで最後に絞って残るのは130kg。戸塚醸造店のお酢はまさに「お米の水」なのです。


▲お酒に前シーズンに作ったお酢を種酢として残しておき、お酒に加えて発酵させている様子

そもそもオリジナル商品として「にごり酢」を作ろうとなった発端は、発酵デパートメント一行が小倉ヒラクのアテンドにより、山梨の蔵めぐりをしたことに始まります。戸塚醸造さんにお邪魔し、ずらりと並ぶカメを見学しながら、まさにこの醸造方法について伺っていたとき「上澄みだけ使う」という話を聞いたスタッフが「え、底に残っている酒粕まで入れたらめっちゃ美味しくなるのでは…!?」と思いつき、戸塚さんが快諾してくださったのがきっかけでした。

ソフトに旨みが押し寄せるお酢の美味しさ

たくさんの手間暇がかかっていて、お酢づくりの最後の最後までお米の旨みが凝縮した、にごり酢。味見をしてみると、ツンとした香りや酸っぱさはなく、フルーティな香りをお米の甘さが追いかけてきます。

いつものお酢みたいに使ってみる

良いお酢とはいえ、「にごり酢」をどう使えばいいかわからない人も少ないはず。まずは、いつもの料理と同じように使ってみました。スーパーでお安くなっていたサーモンを買ってきて、マリネに。マリネ液を作る段階で手を止めて味見してみると、砂糖を少量入れただけで甘みがグンと引き立つのです。いつもの1/3くらいに砂糖をおさえて、完成。

いただくと、サーモンの臭みをフルーティなお酢の香りがカバーしてくれ、脂の旨みがお酢の甘みとマッチ。玉ねぎのスライスとサーモンのお刺身、お酢と砂糖を和えただけなのに、口の中がおしゃれパーティーです。いつになく上品で華やかなマリネに仕上がりました。

お酢をごくりと飲んでみる

これは飲めてしまうかもしれないと思いたって、レモンを絞って炭酸水を注いだあとに、にごり酢を。爽やかで暑い季節にぴったりのドリンクができました。朝に飲めばバッチリ頭が冴え、夜は少し焼酎を垂らして飲めば、疲れに寄り添ってくれるはずです。


使ってみて味わいの感動だけでなく、「なにを作ろうか」、「きっと美味しくなるぞ」と、料理して食べることへの楽しみも引き上げてくれるのだと実感しました。「にごり酢」の底知れぬポテンシャル、みなさまも是非、体感するべし。

ブログに戻る

▼あわせてお買物も▼

メルマガ「発酵友の会」

先行販売やお得なキャンペーン、会員限定のコンテンツやイベントのお知らせを受け取れます。

詳細はこちら

私たちのビジョン

発酵を通して自分の物語を生きる人へ。
発酵デパートメントの目指す先と会社概要はこちらから。

詳細はこちら