食べものにハマるときって、「美味しい」が「面白い!」に変わった瞬間なのかも。発酵デパートメントのランチタイムに登場した「発酵体験米麺(ミーセン)」は、10種類の発酵食が味わえ、食べ終わったあとに「面白かった、楽しかった」と感じてもらえる自慢のメニューです。
今回は、メニューの開発者であるTETOTETOの井上 豪希さんにインタビュー!皆さんを発酵沼に引き込むべく生まれた、メニューの誕生秘話をお聞きしました。
<お話を伺った方>
井上豪希 GOKI INOUE 食のクリエイティブディレクター
「わくわくドリブン」をモットーに、食分野の商品開発やブランディングを支援するブウランディングプロダクションTETOTETO Inc.の代表
ーさっそくなのですが、「発酵体験米麺(ミーセン)」はどのようにして生まれたのでしょうか?
色々な発酵調味料の味を知ってもらえるメニューを作ろうという話がでたのがはじまりです。
発酵デパートメントにはたくさんのアイテムが並んでいますが、試食してもらえる機会が少なく、自宅で調理するシーンを想像しにくいものもあります。そこで、発酵調味料そのものを楽しんでもらえるような、参加型で皆さんの手が加わって初めて完成する料理を考案しました。
▲山賊の宴ディナーコースで人気だった「利き調味料」
ー米麺をベースにしたのはなぜでしょう?
米麺は中国雲南省のソウルフードで、オーナーのヒラクさんの思い入れのあるメニューなんです。発酵デパートメントでも、以前から米麺を使ったメニューはあったのですが、メニュー開発に向けたミーティングの中で「現地の人たちはスープに入った素の米麺に自分で薬味や調味料を入れて、ラフに食べていて、それがとても印象的だった」という話が出て。そのスタイルを発酵調味料でやってみたら、面白いんじゃないかと閃きました。早速、その場で米麺を茹でて、鯖のこんかこんかや、醤油などを入れて食べてみたら、案の定美味しい。
ディナーでも好評だった発酵調味料を食べ比べる「利き調味料」のエッセンスを加えて、お店の発酵食品をテイスティングしてもらえるように構成していきました。
ーミーティング中にほぼ完成してしまったわけですね。米麺を食べてみて、スープじゃなくてお湯なのも意外でした。
お湯のほうが、調味料を重ねたときの旨味が引き立ち、それぞれの調味料の味わいも意識できます。自由に食べてもらえるように、あえて余白を作りました。
あと、調味料を入れて食べてもらう蕎麦猪口にごま油が入っているのも、重要なポイントです。ごま油が入ると、調味料の味わいを引き立て、旨味のベースを引き上げてくれます。これはカップラーメンの仕上げに入れる調味油がヒントになりました。僕自身がジャンクフードが大好きで。
▲使用しているのはablabo.さんの胡麻油
ージャンクフード好きとは意外です!お湯にオイルと、発酵調味料以外はなるべくシンプルに削ぎ落とされていますよね。
麺とオイルと発酵調味料の組み合わせを崩さなければ、何をやっても美味しいんですよ。実際にセットに含まれる調味料の底引きたまり以外は、発酵デパートメントで実際に商品を売っているスタッフの提案を元に決めました。
ー底引きたまりを選んだのはなぜでしょうか?
コクとまろやかさがベースを作って、味の下支えをしてくれるからです。お米の麺ってベトナム料理のフォーのイメージが強くて、魚醤を入れてしまうと一気にアジアン料理っぽさがでてしまう。底引きたまりを入れると和食テイストに寄るので、皆さんの家庭でも馴染みのある味わいになるんですよ。
ーなるほど。井上さんは、いつもどのように食べているんですか?
僕は、まず底引きたまりと鯖のこんかこんかをごま油の入った蕎麦猪口にいっぺんに入れてしまいます。これが基本の味といってもいいかも。そこからアレンジして、途中で酸味が欲しくなってきたら、乳酸発酵した漬物すんきを入れます!こうすると、また味がガラリと変わるんですよ。最後のほうで蕎麦猪口の中が薄味になってきたら、味噌を溶き入れてみたり。
ーすんきは酸味と食感はいいアクセントになっていますよね。
口をさっぱりさせる酸味として、レモンを入れることも検討していましたが、すきあらば発酵食を推したくて!結果的にすんきにして大正解でした。
ー個人的には、かんずりもいい仕事をしていると思いました!
かんずりってスター性がありますからね。何に入れても、光るんですよ。辛い発酵調味料でいうと、最近お店に並んでいる唐三は何にでも合うから米麺にも入れてみたいんですよね。
ーいいですね。こうやって考えているだけで楽しいです。
セットについてくる発酵調味料は、新商品の入荷や季節に合わせて変えられるので。今後の発酵体験米麺にすごく期待しています。どんな味わいが生まれていくのか、僕にも予想ができてないので。
ー日々、進化するメニューなのですね。皆さんにはどんな風に味わってほしいですか?
「発酵体験米麺」を食べるときは、「この醤油は冷奴にかけたい」とか「玉子焼きに入れたら美味しそう」とか、使い方を妄想してみてほしいです。発酵食はあらゆる視点で見て“底なし沼”なので、食べるときに色々と想像力を働かせると、美味しいの向こう側にある食の楽しさや面白さに出会えると思います。
ー組み合わせも、楽しみかたも無限大。自由な発想で楽しんでほしいですね。ありがとうございました。
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現在、発酵デパートメントでは「発酵体験米麺」に加えて、テイクアウトのサンドイッチや発酵調味料を使ったソフトクリームも開発中!今後も発酵食の「美味しい!楽しい!」をアツくお伝えしていきます。こちらもお楽しみに。